2022~2023シーズンを振り返って No2

11月に入り秋の気配が漂えば、いよいよブルーエリアの入荷が始まります。

ブルーエリアと言ってもアマゾン川とネグロ川の合流点より下の本流に流れ込む川に生息するブルーディスカスです。

アマゾン本流を挟んで北側にワトゥマ、ヤムンダetc,

南側にはアマゾン川に沿って流れるウラリア水道に流れ込むカヌマ、アバキシ、マリマリetc,

とどちらもヘッケルディスカスが自然交配したクロス個体が生息します。

それぞれ下流域はブルー、上流域はヘッケルと棲み分けはされてはいますが、

自然界に仕切りなどあるわけも無く、一部地域ではヘッケルとブルーの良いとこ取りの表現を持つクロス個体が採集されています。


■ウラリアソリッドイエローセンターバー










さて、今シーズンのブルーディスカスの先陣をきったのはヤムンダ、

思い起こせば1992年マナウス滞在中に初入荷させた思い入れ深い産地です。

当時ブルーディスカスと言えばマナカプルやプルスといった

合流点より上のリアルブルーの産地からの個体ばかり、

良く言えばワイルドディスカスらしい体型なのですが、

その当時ハイボディが主流のタンクブリードディスカスを見慣れた目には、

やや楕円形に見えて物足りないものでもありました。

それにマナウスから近い為にやや乱獲気味となっていた為、

うちの求めるクオリティ以下のものが多く

困っていたところのグッドニュースがヤムンダからのニューディスカス採集でした。

まだ手の入っていない新産地だけあって兎に角大きい。

優に18センチを超える個体群、

フルラインロイヤル、パーフェクトソリッドレッド、ソリッドレッドセンターバーと

表現はバラエティーに富み、

何よりリアルブルーではあり得ない美しいラウンドフォルムと、

どこをとっても文句の付けようの無い個体群でした。

当時この入荷で日本のワイルドディスカスファンが大盛り上がりしたのは言うまでもありません。

その夢の様な産地も2年、3年と過ぎるうちに他の産地と変わりなくクオリティが落ち、小型化してきます。

良い個体ばかりを採集するので当然の結果なのですが、

この産地も5年を過ぎた辺りから当初の素晴らしい個体群を見ることもなくなりました。


■ヤムンダスーパーロイヤル











■ヤムンダ スーパーローズレッド







ヤムンダ下流域が場荒れしてしまえば漁師達はドンドンと上流域を目指します。

あるテフェロイヤルグリーンの入荷時、

サンプルヘッケルと書かれた袋が2つ混ざっていたのですが、

何せロイヤルグリーンの開封第一とこの2つのサンプル袋は後回し、

ところが開封してびっくり、

今まで見たこともない全身がブルーに覆われたヘッケルが出てきました。

その容姿はヘッケルと片付けてしまうにはあまりにもインパクトが強すぎて

入荷時に集まっていたお客様もお口あんぐり状態、

2匹しかいないため当然じゃんけん大会になったのは言うまでもありません。

それまでヘッケルと言えば言わずとネグロ産、ウラリア産、ワトゥマ産でしたが、

このヘッケルの登場によって合流点から下流のブルーディスカスが生息する河川の上流域には、

新しいタイプのヘッケルがいるのかも?とアマゾンの奥深さを改めて感じるようになったのです。


■ヤムンダブルームーン