コラム:ディスカス飼育[Vol.1]-ディスカスが好む飼育水の作り方


ディスカスが好む飼育水の作り方

ディスカスを飼育するにあたり、まずはディスカス投入前に飼育水を準備する必要があります。
まずは元となる水のPHをペーハーメーターや試験紙で測ってみてください。

正確に測定するにはペーハーメーターがおススメです。
地域によって異なりますが、だいたい元の水道水のPHは平均して7.0前後です。

まずはディスカスを投入するまでの手順として水槽に水をはり、フィルターを稼働させてください。
上部フィルターの中にはろ過材、その上にウールマットを1枚敷きます。

ヒーターの設定温度は28-30度で設定してください。
※当店では30度で設定しています。

フィルターを稼働させ、翌日になると元水のPHは必ず上昇するのでこの元水をディスカスが好む弱酸性の水質に調整するする必要があります。
初日は下の図の手順でまずはPHが上がりにくい飼育水を作る準備を行います。本来水は酸素と交わることで必ずPHは上がるので元水を調整しないでフィルターを廻すと翌日PHは7.5くらいに上昇しています。

PHの上昇しにくい水質を作るためにまずPHマイナスを入れセット初日はPH6の水を作ってください。


その後、バクテリア(硝化菌のバイコム78 500ml)を用意し250mlフィルターの中に入れてください。
※脱窒素菌のバイコム21も250ml用意し同様に初日は120mlほど投入するとベストです。

2日目

翌日PHを測ると必ず6.5-6.7付近まで上昇しているのでさらにPHマイナスをいれPH6.0になるよう調整して下さい。初日よりもPHが下降しやすくなっていますので少量ずつPHマイナスを入れてください。入れすぎると下降しすぎることとなります。
その後、バクテリア(バイコム78)を用意し80mlフィルターの中に入れてください。バイコム21も40ml投入してください。


3日目-4日目

PHを測定し2日目と比べPHが上昇する傾向があれば前日と同様にPHマイナスを投入しPH6.0まで落としてから再度バクテリア バイコム78を80ml、バイコム21も40ml投入してください。


3日目と4日目に残り250mlのバイコム78とバイコム21を2日間に分けて入れて下さい。
※バクテリアの投入は必ずPHマイナス投入後にして下さい。

5日目になればいよいよディスカスを投入することのできる飼育水となります。


この作業を数日間繰り返すことでPHの上昇しにくい弱酸性のディスカスが好む水ができるのです。
ディスカス投入後PHが上昇しそうな飼育水であればPHマイナスではなくディスカスに安全なブラックピートを使用してください。
(ブラックピートはタンニンやフミン酸といった成分が含めれており、なだらかにPH下降しかつ殺菌効果もありますのでおススメです。)
※PHマイナスはディスカスの入った水槽に直接入れないでください。急激なPH下降からPHショックを引き起こす原因となる可能性があります。

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ディスカスの水合わせ方法


持ち帰ったディスカスをバケツに移します。図のようにエアーチューブを使ってゆっくり水合わせを行います。
必ず水槽内のPHを測っておいて下さい。

極端に水質の差がなければ30分程度時間をかけて水合わせを行ってください。


元の水の量の2倍になったら半分捨てて下さい。このときもう一度PHを測って下さい。

再び水を合わせ、いっぱいになった時点でもう一度半分水を捨てて下さい。
この工程は2度行って下さい。


「立ち上げ後からろ過材の交換時期まで」

 

水槽を立ち上げディスカス飼育がスタートすると3日目から徐々に餌を与えだします。 このとき水槽内のバクテリアの活動はまだ活発ではないので極端に多いえさの量は控え必ず食べきれる量を与えてください。

初期の段階では水槽内にアンモニア等の汚れが発生しますので場合によってはテスター等で測定して見ると確実です。 極端に高い数値や、白にごりを起こさない限り大量の換水は行わないでください。

アンモニアが発生しても大量に換水は行わず5分の1から4分の1の換水を行い水槽内のアンモニアを亜硝酸から硝酸塩まで変化させるようきっかけを作り様子を見てください。 ※換水量を多くするとディスカスが嫌うPHが上昇しやすい特性を持った水に戻ってしまうためです。飼育水つくりで初日から行った作業が無駄に・・・・・。

初期の段階ではバクテリアを補充することを忘れないでください。

このとき換水に使う水は水槽内のPHに合わせた汲み置いた水を使用して下さい。

 

汲み置き水を作る際には、PHマイナスを投入後最低でも6時間から12時間ほど汲み置きを行います。その際に必ずエアーレーションを行い、冬場であればヒーターで温度も合わせることも行ってください。

PHを調節していない水を使用するとPHが極端に上がり立ち上げ初期のディスカスに負担をかけます。

アンモニアが硝酸塩まで変化すると飼育水のPHは徐々に下降しだすのでバクテリアが活動している目安となります。 この状態になれば硝化活動が行われているので安心です。 (立ち上げから3週間から1ヶ月ほどです)

PHが穏やかに下降(1日で0.2ほど下降)する水質になりいよいよ換水を本格的に行います。

PHが6.5の飼育水が3日後にPH6の水質に下降しているのなら再び6.5に戻すだけの換水を行います。 極力水質が急変しない換水を行ってください。

立ち上げから2,3ヶ月ほどは穏やかにPHが下降していた水質も立ち上げから3ヶ月以降は下降する数値が大きくなってきます。

換水を行っても翌日にはもとのPHに戻っているときはフィルター内の飼育水を取り出しろ過材を軽く洗ってください。 ※洗浄の際には飼育水でろ過材を洗うと良いです。

ろ過材に付着しているたんぱく質をとり水質の変化を和らげてください。 ろ過材のたんぱく質を洗うことでPHの急激な降下は緩和されるのです。

ろ過材を洗い水質変化を緩和させている状態も長くは続きません。 ろ過材は洗ったがPHの降下が大きいときはろ過材の交換時期となります。

ろ過材の交換時期は水換えではPHを上げきれなくなった時です。

そうなる前に交換しておくのが良いのは言う間でもありません。 ディスカスの収容数と水量によって濾材の傷みも異なりますが、早ければ3か月、遅くとも6か月で交換時期がくるはずです。

※水槽サイズによる水量や飼育している引数によりますのでPH測定し水質を把握することが重要となり、洗浄や交換時期がある程度把握できます。

えーっ随分まめに交換するんですね?と聞かれますが、 考えてもみてください。

濾材表面にこびり付いた脂肪や蛋白質は水洗いしただけでは到底取りきれません。 中には水洗いして天日で干せばいい、と言われる方もいらっしゃいますが、

それこそとんでもない事ですよ、取りきれてない脂肪や蛋白を天日で干せば、、、、? 想像してみてください、まるで即席のビーフジャーキーみたいなもの、それをもう一度フィルター内に戻せますか?と、PHを下降させている要因を取り除かない事には何も変わりません。

今、どんなフィルターをお使いであっても肝は一度に全てを換えない事です。

「ろ過材の交換方法」

ろ過材の交換は一度にすべての交換は行わず必ず半分ずつ行ってください。 まずはフィルター内の入り口付近のろ過材を取り出し残りのろ過材を入り口付近に移してください。

次に開いたスペースに新しいろ過材をセットしてください。

ここでろ過材の交換は終了ではなくバクテリアが新しいろ過材に移る時期を見て (約3週間から1ヵ月後) 残りの古い半分のろ過材を交換してください。

あと濾材を交換したら必ずバクテリアを注入してフィルターを助けてやってください。 その日は餌は与えないほうがいいでしょう。

オーバーフロー水槽や外部式フィルターを使用していてもろ過材交換の考え方は同じとなります。

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「理想的なディスカス飼育水質環境」

ディスカス飼育における理想的な水質は一般的に軟水だと言われています。 日本においてごく一部を除けば殆どの地域において飼育に適した軟水が水道水の蛇口をひねれば簡単に手に入ることとなります。

その名の通り水が軟らかくそれに比例してpHも中性から弱酸性でGH、KHも低いのが常である。 ヨーロッパなどの硬水の様にまず水そのものを加工する必要が無く使用できる事は環境的に優れていると言えるでしょう。

しかし、その様な軟水であっても塩素やその他薬剤を使用し水道水とされている以上、それらの有害な物質を取り除かないことにはそのまま使用する事は出来ません。

昔は魚を飼う時は前もって水道水を汲み置き、一日寝かせてから使用していました。 これは水道水に含まれている塩素をとばす意味でもある。

後にハイポと呼ばれる錠剤のカルキ(塩素)抜きが現れそれが進化し使用しやすい液体のものとなり現在に至っています。 では、それらで処理された水は本当に飼育水に適した水なのでしょうか?

水道水中の塩素をただ中和し塩素の素となる成分は残留した飼育水水準のボーダーラインすれすれの水が出来あがっただけと言う事ではないでしょうか。 簡単な話、中和すること自体がナンセンスな考え方となります。

中和され残留したその無害と言われる物質は所詮不要の物であり水中に不純物として残ります。 その値が高ければ高い程、魚にとって最も重要な器官である鰓に大きな負担をかける事となります。

鰓に支障を及ぼすと食欲、色彩、成長率全てに大きな悪影響を及ぼす事になり、また不純物から体表を守る為に粘膜の代謝も激しくなり艶も著しく落ちる。

実際に水中に含まれている物など目で判別する事は不可能ではあるが、人間を含め動物に対する空気の影響と同じく不純物とはそれ程までに魚の健康に大きく害を及ぼすでしょう。

水そのものが消化器官に入る人間や動物ですら不純物が含まれた水を長年飲用するとそれらの蓄積で著しく健康を損ないます。 まして、呼吸器である鰓や体表で直に受ける魚はどうでしょうか? 「危険である!!」

ではどうすればよいのでしょう? 中和剤を使用すれば一見無害なものとなるが無害なだけで飼育水の中には残った状態となります。 ズバリ不純物は除去するのが一番!!

環境問題が大きく問われる現代において飲料水は浄水器を通した水を使用するという事は、今や常識でありそれら機器を魚の飼育水を作る為に使用する事も今では当たり前の事ではないでしょうか?

しかし、浄水器なら何でも良いという事ではなくアルカリイオン水や活性水などと呼ばれる電気的・磁気的に水を処理する類はディスカス飼育のこれに当てはまりません。 ここで最も重要な事は除去することだという事を思い出して下さい。

手始めに塩素、重金属が有害な物質の一つとされ、鑑賞魚にとっては最も認知された物質でもある。この塩素や重金属はこれまで中和剤を使うケースが圧倒的に多かったのですが、近年では観賞魚用浄水器が多数販売されています。種類も豊富ですが上記2点の有害物質を取り除くにはセディメント、活性炭を使った2連式の浄水器をお勧めします。

ハートトレード シンプル

この浄水器を使えば塩素、重金属を簡単に除去することができます。

水道からホースをつなぎこの浄水器を通すだけなので手軽なのもお勧めする理由の一つでもあります。 必要最低限に観賞魚に安全な飼育水を作ることがこれでできることとになります。 この浄水器を使っても汲み置きをすることはお忘れなく・・・・。

そして、次に注目するのは水中の不純物を測定表示する場合、MS(マイクロジーメンス)やPPMという値が使われます。 その数値が高い程H2O(水分子)以外の物質が多く含まれていると言う事になります。 ※例えば堺市の水道水は70~100 ppmあります。

塩素、重金属を含む有害物質に注目する点は他にもあり、上記の2連式浄水器で抽出した水と水道水を比べても実は水道水と大して変わらない数値(ppm)となり、いかにその他多数の有害物質が含まれているかがよく分かります。

このことから塩素や重金属は除去する最低限の物質とも言えます。

さてのその数値(ppm)とは中味が問題でビタミンやカルシウムその他の栄養素が値を上げているのであれば理想的でありますが、水道水中にその様なものが含まれているはずも無く、それら有機物の殆どが有害だとされています。 季節よって変化するが特に梅雨の時期の数値は時に異常な値を示す。また水道工事後などは見れたものではないでしょう。 この数値が語る所は大きければ大きい程、魚にとっては危険だという事になるます。

簡単な導電率計(TDSメーター)で測定する事ができるので、ご家庭の水道水の数値を測られてみてはいかがでしょうか。

現在、不純物を除去するフィルターとして最も優れている物はRO(リバースオスモシス:逆浸透膜浄水器)だと言われています。 塩素副成物質や重金属、細菌などを96%以上除去する能力を持ちます。 いわゆる純水製造マシーンのこととなります。

造り出される水は無味無臭であり、PPMも約2-5以下と無駄なものが含まれていないため加工がしやすく観賞魚に向いた理想的な水を作ることが可能となります。

ハートトレード RO浄水器クロノスレイン

当社で扱うROシステムがそれにあたるが飼育水にそのまま使用すると問題があり、ppm 2-5と純水に近い為、性質を持たない水でもあり無駄なものがない分必要とするミネラルもないこととなります。 また性質がないということはpHそのものが水槽の飼育水の酸性度に左右され易くなります。 又、音や方向を感知する側線が正常な働きをしにくくなります。 ですから、この純水に味付けをし、飼育水に適した水を作る必要があります。

例えばワイドディスカスが生息するアマゾン水系では高い所でppm25~30、ネグロ川本流に至ってはppm2~5と著しく低い値が示される。 この数値の中味が魚にとっては無くてはならない自然が作り出したミネラルで、 ジャングルに降り注ぐ雨は腐葉土を通る事によりミネラルを吸収し土中に染み込み完璧にろ過され川に注ぐ。このスパンは長いもので10年以上かかると言われています。

この様な水質を水槽内で作る事は殆ど不可能に近いがROを使用した純水に手を加える事によって自然に近いより安全で魚に負担をかけない理想的な飼育水を作ることが可能となるでしょう。

現在の飼育環境が水道水を中和しただけの水を使用しているのであれば、徐々に環境を変化させてください。 ppmもpHと同様に急変させると魚に負担を与えることとなります。

安全な切り替え方法としてまずROの純水(ppm2~5)と、2連結浄水器のコットンとカーボンを通し塩素と重金属を除去した水(ppm70~100)を1:2もしくは1:1の割合でブレンドしppm40~50の混合水を作ります。 それを換水時や新しい水槽の立ち上げ時に使用してください。

今使用している水槽内のMSとは給餌や排泄物により上がるものなのでppmが100であろうと150であろうとそれ自体が問題ではなくppmを調整した汲み置き水を使用し換水する事が胆となります。 この方法で暫らく管理をしてやると目に見えて体色が揚がり呼吸もゆっくりとしてくるはずです。

因みに、このままであっても従来の管理よりも数段すぐれた方法といえるが事ワイルドディスカスのブリーディングにおいては満足な結果を得る事は難しいとも言えます。

ppmのベースをより落とし飼育水自体をppm50以下に落としてやる必要があり、これがステップ2であり、ここから純水に上手く味付けする事が飼育者としての腕の見せ所でもある。

ROシステムで作られるppm 2~5の純水に対しオリジナルディスカスグッズのディスカスミネラルやテトラ社のバイタルなどを足して、ppm50~70の栄養水を作ります。

ppmを上げている成分は不純物ではなく、“栄養”であるという点が大切で、純水の持つ浸透性の高さを利用し魚にとって必要な栄養素を添加するのです。 この配合率はそれこそ魚の様子を見ながら添加する事が前提であり「センス」ではないでしょうか。

このppm25~35の栄養水を使用して飼育するに当たり超軟水故pHの低下という問題が起こります。 この水質の変化を抑制する物がフィルター内部に使用するオリジナルろ過材のゼオセラにあたります。

天然鉱石を焼き付けて作られている為、自然のミネラルや鉄分が程良く分泌され多少ppmを上げるものの理想的な水質を長持ちさせてくれます。 また有害な物質も吸着する作用も持っているのでディスカス飼育にはこと重宝すること間違いないです。 以上が、ディスカスに使用する理想的な水の話となります。

ディスカスをはじめとする南米系淡水魚の多くに当てはまる話とも言えます。

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ディスカス担当 上村まで