コラム:ディスカス飼育[Vol.3]-汲み置きに使用する水について

どこの水を使用するか?

汲み置きの水に使用する水、おかしな言い方かもしれませんが水道の蛇口から直接か?浄水器を通すか?
汲み置いてエアーレーションして曝気させるのだからカルキは抜けるにしても、やはり水質に影響する重金属類などを除去する浄水器を使用する方が良いでしょう。

よく家庭用の浄水器を通した水は大丈夫ですか?と聞かれるがその浄水器によって能力に差があるので簡単にはハイ、と言えません。
実際、アルカリイオン水を作る浄水器もあるのだからまずお持ちの浄水器から出てくる水を計測する事をお勧めします。

さて、汲み置きタンクに水をはりました。
水道水はPH7.1、エアーレーションをかければ必ずPHは上昇します。そこで予めPHが上昇する事を予測してPHを5.5~6.0あたりに調整してください。

6時間以上まわしていれば変化しにくい水が出来上がっています。PHも6.8~7.0あたりになっているはずです。
この水を使って水換えしてやることによって水によるディスカスへのダメージが少なくなるのです。

■(セラ・テトラ各社 PHマイナス) 安全にPHを降下させる

■浄水器

右のシンプルは、カルキ・重金属を除去する。左のクロノスレインはRO浄水器99%の不純物を取り除く純水製造機

更に水の話

汲み置きタンクの安全な水作りに関してご理解頂けましたでしょうか?
さて、ここからもう一つレベルの高い水作りに関してお話します。

大抵の場合PHとGH,KHは連動します。ここまでの水作りではあえてPHを調整するのですから、PHを下降させ易い水質であればGH,KHもそれほど高くないはずです。
日本の水道水は大抵これに当てはまります。

確かにディスカス飼育には適した水だと言えるでしょう、普通に飼育するのであれば何ら問題ありません。
ところがその水をより飼育に適した水にする方法があるのです。

度々ppmという言葉を使いましたが、これは水の導電率を表す単位です。 純水(H2O)は電気を通しません、純水に色々な不純物が混ざりあって水になり、その不純物を通電するのです。

その導電率が高い程、不純物が多く含まれていると言う事です。
不純物と言えば聞こえは悪いですが、一般にミネラルと呼ばれる有用なものもこれに含まれます。
ここら辺りの水道水で季節によって変化しますが、ppmは90~100辺り、ただ、そのppmに表れている数値を上げている内容物は何かは分かりません。

水道管内の鉄さびなのかも?または浄水場で使用するカルキや他の薬剤かも?近所で大きな水道管工事があった時なんかでもかなり数値は上がる様です。
ひどい所では500を超えてしまって計測不能なんてあるみたいです。他、不純物濃度を表す単位にppmやms(マイクロジーメンス)があります。

私達の生活上でも度々登場する単位ですよね?実際目に見えないものですから数値が上がっていても気付くわけありませんよね?
いくら安全な水道水と言っても実際分からないと言う事です。

また、最近では集合住宅(マンションなど)の貯水槽なんかも要注意ですね、年一ぐらいで清掃する様ですがどんな方法でしているのか気になる所です。
そこまで気にしたら大変だよな、と思われるでしょうが、ディスカスにとっての水は我々の空気と同じ、汚染されていていい事あるわけありません。

息?のし易い環境作りが大切です。では、息のし易い水?の作り方、まずは浄水器を使用する事です。

浄水器にもそれぞれの能力があり、コットンとカーボンを通すだけでカルキ、重金属を取り除く物からそれ以上により細かいフィルターを通し水中の不純物の99%を取り除けるものまであります

コットンとカーボンを通すだけのシンプルな物でさえ、使用するとディスカスの発色は変わるほどです。
それ以上の水を作るにはもうRO(リバースオスモシス)逆浸透膜を持つ浄水器を使用するしかありません。

このROフィルターは安全な飲料水を作るために開発された優れモノです。
例えば沖縄の離島などで地下水に含まれている塩分を除去したりするのに使用されています。

この15年ほどの間にこの優れた浄水器は小型化され、家庭用、また熱帯魚用などにポピュラーに使用されるようになりました。
さてこの熱帯魚用です、今日の水道水の数値は92ppm、それをRO浄水器(クロノスレイン)に通します。



出来あがった水の数値はRO浄水器ですと6ppm、水道水ですtp86ppm不純物を除去しています。RO浄水器から中質したこの水は純水に近い超軟水です。
PHも元と変わらず計測出来ますが、PHの高い水に入れれば高く変化するし、低い所に入れれば低くなる、性格、性質のない水と形容するしかないなにも含まれていない水(H2O)です。

飲料水としてはこれ以上のものはないのですが、この水のみを使って魚を飼育するのは不可能です。
やはりppmをあげる良質なミネラル分が必要なのです。どんなものが必要なのか?それは次回説明することとして、まずは簡単にかつ間違いなくppmを上げる方法は、コットンとカーボンを通した水で割ってやる事です。

せっかくの純水に近い水ができたのにそれをまた割ってしまうなんてナンセンスだと思われるでしょうが、これが一番失敗しない方法なのです。
写真で順に説明します。

■その1:6ppmの水


■その2:92ppmの水


■その3:6ppmの水に92ppmの水を割っていく


■その4:33ppmの水の出来あがり


というように約30ppm~40ppmの水を作ります。
汲み置きタンクの中で作るのですから簡単ですよね?

これで即席のppmの低い水の出来あがりです。このppmの低い水で水換えしてやることによってディスカスの調子は劇的に上がります。

熱帯魚を趣味とする人の大半は、その故郷であるアマゾンに夢を馳せている。世界最大のジャングルであり、それらの樹木すべてを生い茂らせる豊かな水源でもあります。

ペルーのアンデスを水源として数え切れない支流を足して大西洋に流れ込む。
その支流の中でも最大のネグロ川は、正に理想的なブラックウォーターを湛えて、熱帯魚の生息に最適な環境を作り出している。アマゾンと言えば全てがブラックウォーターだと思われがちだが、本流は勿論、多くの支流も泥質な地盤により、お汁粉を溶かした様なねっとりとした黄色がかった茶色い水となります。

この水はどうも大型のナマズ類などが好む様でこちらの思うアマゾンのイメージから少し外れてしまう。さて、そのブラックウォーターの源、ネグロ川、それを取り巻くうっそうとしたジャングルは硅素(水晶の一歩手前のもの)でできた白砂がメインの地質でなっています。

その上に樹木が茂り、その樹木から何層にもわたって腐葉土の層が形成されています。ジャングルに降る雨はそれらの中をゆっくりと浸透し、長ければ何年もかけてネグロ川に流れ込むらしい。いわばこれは自然の巨大なフィルターであり、純水である雨水に天然の濾材(腐葉土や硅素)が含む良質なミネラルが溶け込み理想的な水を作りだしています。

あのコーヒーの様な真っ黒な水なのに計測すると驚きの数値を指す。ネグロ川の本流でPH4.0~4.2 GH KH はそれぞれ1前後、驚きは僅か3~4ppmしか指さない不純物濃度だ。

この数値はROフィルターを通してでてきた純水に近い水と同等もしくはそれを上回る数値である。
その数値を上げている内容物も硅素や腐葉土から摘出されたミネラルであり、そして川であるから絶えず新しい同様の水が流れてくるからこれ以上の上質な水は無い。

■ジャングルに降った雨は小さな流れとなりミネラルを吸収しながら川へ流れ込んでいく


■そのような水質でできたラグーン 見事な水草育成環境である


次回コラムをお楽しみに!


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